| ●○The little novels○● | |||
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「なんて素敵なピクニック」
バスケットにサンドイッチとミルクティー
それから美味しいスコーンとジャム
手づくりのジャムよ
君と一緒にいつもの場所で
静かにピクニックしましょうよ
「はちみつちゃん、どこへゆくんだい?」
君はきっと、私をこう呼び止めるわ。
私は森をスキップしながら。
「ピクニックよ、一緒にこない」
君は笑って私の手をとるわね。
でも途中で、あのベンジャミンが私たちに声をかけると思うの。
「おぃ、そこのお二人さん、どこへいくのかい」
「ピクニックよ、いけないかしら」
私は勇ましくベンジャミンに立ち向かうわ。
そんな時、君は何て言うかしら。
そしてベンジャミンは私たちをからかうだけからかって、
とりまきどもと去っていく。
やっと二人の時間ね
そしたらすぐに小川のほとりにつくでしょう。
君は私の持っていたギンガムチェックのラグを
「それは僕が持とうか」
なんて言って、きっと持っててくれているから、
ここらへんで、一緒に芝生にラグをにしきましょうよ。
私は美味しいランチをつくってきたから、
早く君に食べてほしいのよ。
君は私のサンドイッチを
ひとくち
ふたくち
食べて
「本当に君がつくったのかい」
って驚いて、私をほめてくれるの。
私は嬉しくて、君の頬にキスをして
静かにミルクティーをカップに注ぐわ。
これは二人でおそろいで選んだ、ティーカップ
食事が終わったら、バスケットとラグはそのままにして、
二人で小川のほとりを散歩するのよ。
ほら、ことりが私たちを祝福しているわ
見て、そこに美味しそうないちごがなってる
私は木の下にすわって、ガーベラでかんむりを編むわ
これが君と私の愛のしるしよ
二人はそれから
ふざけてかけっこしたり
手をつないでほほえみ合ったりして
いつまでも幸せな時間を過ごすのよ、かけてもいいわ。
なんて早い夕暮れなのかしら、もうお家へ帰らなきゃ
私は、ママが私をしからないぎりぎりの時間まで君といるのよ。
帰り道は、走って帰るから。
「ばいばい、僕のはちみつちゃん」
「ええ、また明日」
今、つないだ手と手がはなれたわ。
もう今日はおわかれなのね。
私は帰り道、泣きながら家へと走るわ。
また明日会えるのに。
おかしいな、なんでこんなに悲しいのかしら
早く会いたい
「ねえ、私とピクニックゆきましょうよ」
私はそんなことを空想しながら
いつも独りでピクニックにゆくわ
私の友達はいつだってくろねこのジャスミンと
お人形のメアリだけだもの
私の素敵なピクニックはここでおしまい
私はいつだって毎日がピクニックよ
2005.09.11
「空想と現実の間」
小さな硝子ビンを拾ったんだ。
硝子ビンゎ空っぽなのに、僕ゎ空想してみたりします。
僕にゎつめたく冷えたレモネードや、ソーダ水が入ってるように見えるょ、
でもそれは僕だけにしか見えなくて、すぐに消えてしまうけど、
僕ゎ飲んじゃうことにしたんだ。
だからきっと、それゎ僕の中でずっととどまるょね。
僕だけのもので、しかも完璧なんだ。
僕ゎそうやって嘘ばかりついているけど、僕にとってゎそれが全てなんだ。
君の目に映るもの全てが本物とゎ限らなぃ。
もちろん空想の全てが嘘とも限らなぃょ。
2005.09.10
「僕は彼女を殺した」
僕には少し前まで大切な人がいたんです。
と言っても、僕にはその子の他に好きな人がいました。
自分の意見を正当かしてるように聞こえるかもしれませんが、
僕にはこれしかなかったんです。
確かにマリーは優しくしてくれて、思いやりもある。
そして見た目も可愛いし、僕の憧れでもあった。
でも僕は、マリーを傷つけたくなかったんです。
優柔不断で、しかも傲慢だからこんな自体に陥ってしまったのでしょうか。
でも僕は、マリーと一緒にいる間もずっと好きな子のことを考えていました。
なぜなら、僕は精神的にも肉体的にもマリーを求める一方、
好きな子を美化し、恋に恋していたのです。
いつか自分にもチャンスがあるかもしれないと、うつつをぬかし、
僕は、日に日にマリーを傷つけていったんです。
そして、僕はマリーのおもいに気づかなかった。
きっとそれは、僕が自分の手の中にあるものだけで精一杯で、
マリーのことを十分におもってあげることが出来なかったからだと思うんです。
僕としては、これでも頑張った方なのですが…言い訳にすぎませんね。
僕は、後悔はしないたちなんですが、今回ばかりは後悔しました。
だって彼女は、僕には計り知れないぐらい僕を愛し、そして死んだからです。
あの日は、雨が降っていました。
小さな街のあのカフェで僕らは待ち合わせ、
いつものように僕たちは、彼女の家へと向かいました。
僕は傘をさして、君をまねき入れました。
僕はあの時、君がなんでそんなに悲しそうな顔をしているのか、解りませんでした。
僕がもっと早く気づいていれば、こんなことにならなかったのに…
家につくと僕たちは、彼女の部屋へ。
そして、彼女のベットを背もたれにして、ならんで座りました。
二人はいつも、彼女の部屋で話をしたり、キスをしたり、セックスしたりしました。
でもその日彼女はなんだか下を向いて、僕の手を離さなかったんです。
彼女は無理矢理僕を抱きしめました。
僕は息苦しいほどで、君をなるべく優しくほどきました。
「ねぇ、何で泣くの、」
僕はいつもの調子で、あきれ果てた様子で言います。
でもその時、君の頬を涙が伝いました。
君はまた僕を抱きしめ続け、そして口を開きます。
「あのね、もう君とはいれない。」
いつもは僕に楽しい話ばかり聞かせていた君の口から、
たくさんのことがあふれ落ちました。
彼女は嗚咽をもらしながら、ずっと彼女が心の奥底に、
僕が無意識のうちに蓄積させていった傷、
それを全て吐き出しました。
これは、僕がマリー以外の人を愛し続けて、そしてマリーも愛そうとした、その報いです。
彼女は僕に言いました。
私は君の幸せだけをおもって、毎日過ごしてきたんだよ。
いつかむくわれると思って、私を一番に愛してくれるようになると思って…
君は私に何も言ってくれなかったよね、
何かを与えて何かをもらおうとするなんて考え、
間違ってるのは痛いほど知ってるけど、
それなしでは関係が成り立たないのも事実だよ。
どれだけ愛しても、君は気づいてくれなかったね。
私は君を信じることが出来なかった。
でも、一生懸命信じてたんだよ。
彼女は自分の我慢が、いつか僕にわかってもらえると信じて、ずっと耐えていたんです。
でも僕はこのとき初めて彼女の思いに少しだけ、気づきました。
しかし僕は束縛を嫌い、自由になりたいと思い始めていたところでした。
それに、僕の好きな子もマリーと同時に愛していたから。
だから僕は、君を引き留めなかったんです。
君が僕を嫌いになって別れようとしているんじゃなくて、
君が僕についていけなくなって別れようとしていることが、わかっていたのに。
僕は最後まで、引き留めてほしいと君が望んでいたことに、気づかなかったんです。
僕は君と別れた後、何度も君と顔を合わせる機会が何度もあったんですが、
お互い話すどころか、目も合わせませんでした。
なぜなら、それが君の望みだったからです。
「そばにいることが出来ないのなら、いっそ縁を切った方がいい…」
彼女は泣きながら、そう言いました。
だから僕は君の言った通りにしました。
僕はその後、以前よりまして好きな子を愛しました。
もちろん片思いでしたが、僕はそれだけで舞い上がっていました。
決定的にマリーと彼女は違いました。
なぜなら、僕はマリーを見たってこんなふうに嬉しくなったりしなかったからです。
実は、僕が彼女を愛している間、マリーは何度か僕の家に足をはこんでいました。
やはり僕のことが忘れられなかったのでしょう。
彼女は悲しそうにうつむき、僕を抱きしめ、僕は不甲斐ない気持ちでいっぱいだったのですが。
「好きじゃなくていいから、しばらく一緒にいて」
と言って泣きながら、僕と色々な話をして、そして、僕は彼女とセックスをしてしまいました。
僕は彼女が良いなら、それで良いと思い、罪悪感はありませんでした。
そんなことが何度か続きました。
しばらくして、僕はその子と付き合い始めました。
そしてマリーと会うことはなくなりました。
しかし僕の夢や空想とは裏腹に、その子は僕を思ってくれるどころか、
僕を悩ませてばかりいました。
僕はその子に会うたび、苦しくなり、傷つき、落ち込みました。
あの子は
マリーのように僕のことを一番に考えてはくれない。
マリーのように「好き」と嫌になるほど言ってくれない。
マリーのようなセックスじゃない。
マリーほど僕と一緒にいたいと思っていない。
マリーのように…笑わない。
僕の頭の中でその考えが、ぐるぐると渦を巻いていました。
僕は叫び声をあげたくなるほど、狂いそうでした。
僕は恋に恋をし、僕はその恋で自分は変われると信じ込んでいた。
マリーよりあの子の方が本当で、結ばれるべきだなんて思ってた。
でも、全部僕の間違いだったよ。
やっとその時、僕は悟った。
マリーの全てが、僕への本当の愛だったと。
でも、もう僕とマリーは手遅れでした。
きっと神様は、僕に罰を与えてくださったんです。
僕は僕の彼女に別れを告げた夜、君に電話しました。
しかし、電話をとる人は誰もいませんでした。
妙な胸騒ぎを覚え、次の日、いてもたってもいられなくなった僕は、君の家へと急ぎました。
しかし、もう僕は君に会うことができなくなってしまいました。
小さな君の心は、僕のせいで粉々に砕け散ってしまったのです。
これは、君の中の僕の死であり、僕の中の君の死です。
君の中にはもう、僕はいないのです。
今、彼女は病院にいます。
漂白された病室の中で、君は何を考えているのかな。
きっと窓辺には、グラスに花がさしてあって、君は窓の外を無色で見ているのでしょう。
僕は君に会うことが許されない。
そして君の生活を、人生の一部分を台無しにしてしまった僕は、
もう君に会うことはできないだろう。
でも今、僕は君の本当の愛に気づき、君に心から感謝しているんです。
僕はあの日から、後悔と謝罪にまみれ、毎日を送っています。
こんな僕を、君は許してくれますか。
そしてもう一度、君の無垢な笑顔を見せてくれますか。
…僕は許してくれなんて、傲慢なこと、もう言いません。
でも、そのためにはどんな努力も惜しみませんよ。
やっと僕は君を本当に愛すことができたのですから。
彼女は最後まで僕を愛し、そして死にました。
2005.09.10
「さよならをあげる」
最近、私は「満たされない」という感覚に陥る。
私には何ひとつと言っていいほど「満たされない」事実はない。
と思いこんでいるのかもしれないが、
このところ、どうしても不安でならない。
私は県立高校に通っている。
私は今まで劣等感をほとんど感じたことがない。
成績は校内でも優秀で、
芸術だって、歌ったり、ピアノをひいたり、何でも出来る。
体育だって得意な方だ。
経済的にも恵まれているし、容姿も悪い方ではない。
だから、今まで他人を羨んだことがあまりない。
いつも甘やかされた、満たされた環境の中で生きてきた。
だから今、私はこんな状況から抜け出せないのかもしれない。
私にも彼氏がいる。
私にとっては、男でも女でもどっちでもいいのだが。
彼とは少し前まで友達だった。
多分今でも、まわりから見たら友達のように見えるかもしれない。
だけども、私は彼をとても大切に思っている。
彼も最初は、私と同じことを思っていたはずだ。
でも今私は、彼が私を本当に大切に思っているのか、どうなのか知らない。
彼はギターがひけて、バンドをしている。
私は放課後の彼のことを知らない。
だから、私のいないところで、
しらない子と仲良くしているのかもしれない。
私は毎日をただひたすら耐えているのだと思う。
必要以上、何も言わない彼に。
もう駄目だ、と思ったらうち明けよう。
既に言葉は用意してある。
実は、今日見てしまった。
街で彼がしらない子と歩いてるのを。
どう見ても、家族や友達のようには見えなかった。
そして、私の前では絶対に見せないような、顔をしていた。
私に気づく様子なんて少しもない。
でも私は、次の日、何も言わなかった。
言えなかった。
だって、私はとても彼を大切に思っていて、
それは今までも、これからも変わらないことだ。
たとえ彼に他の好きな人がいるとしても。
でも、やっぱり私は
今日言うべきか、
明日言うべきか、
迷っている。
私は
彼には私と別れる勇気なんてないことを知っている。
そして私のしらない子に告白する勇気がないことも。
きっと彼は私を失いたくないだろう。
しかも私の憎んでいる子も失いたくないだろう。
だったら、私からさよならしてあげる。
彼は苦しむだろうか?
きっと苦しむにちがいない。
苦しむ姿が見たい。
矛盾していることだが、彼は私を好きだから。
それはわかっている。
でも、しらないあの子よりは愛されていないけど。
それもわかっている。
ひどい、残酷だ。
と思うかもしれない。
でも、君が私にしてきたことの方が、もっとひどいよ。
君は私が君をおもうほど、私をおもってはいない。
「好き」って自分から言ったことないでしょ。
感謝の言葉も聞いたことないね。
覚悟ができたら、君に話そう。
私の顔が見えないように、君に頬を埋めて。
泣いてるのが、わからないように。
「私とあの子、どっちが好き?」
って聞いてあげよう。
君も私が気づいたこと、知ってるよね?
「わからない」
きっと君は、そう答えるだろう。
私は顔はあげないことにするよ。
私が泣いてるのを知ったら、君は怒るだろうから。
「じゃあ、私のこと大切だと思う?離したくない?」
そう聞こう。
きっと前向きな返事なんて、返ってこないよね。
そして、最初の二人に戻るのかな。
それとも、抱きしめてくれるのかな。
もし、これが本当のお別れなら、
これからはもう、君と言葉もかわさないよ。
目も合わしたくはないよ。
そして、君はきっと悔やむだろう。
私が君にたくさんあげてきたものに、気づくだろう。
私がどれだけ君をおもっていたのかがわかるだろう。
私を失って、考えてみてよ。
君がもう一度、私に憧れてくれるまで、
愛してくれるまで。
私は待っているから。
いつでも君のために私は場所を空けてあるよ。
君にあげたいものがたくさんあるんだ。
私は全部ささげてもいい。
君のために今まで生きてきたんだから。
きっと君にどんなことをされても
この先もずっと
好きで居続けることを約束するよ。
だから
お願い、
もう一度、私を心からおもって。
そしたら、私は君にさよならなんて言わない。
さびしい思いなんてさせないから。
「一輪の赤いばら」
ローズマリーは静かな森の、川沿いの小さなお家に住んでいました。
ローズマリーには、家族も友達もいません。
いつもひとりぼっちでした。
そして、ローズマリーは蝋燭を水に浮かべて、眺めることが好きでした。
ある日、ローズマリーは不思議な夢を見たのです。
それは、くるくる回る銀の矢が彼女の右目に入る、という夢です。
小鳥の声で目覚めたローズマリーは、窓の外を見ました。
「ごきげんよう」
ひとりの少年がこちらを見て、みっこりと笑っていました。
銀の髪の色をした、優しい少年でした。
そして、その子はひとりぼっちのローズマリーの友達になりました。
それからというもの、二人は仲良く暮らしました。
少年に名はありませんでしたが、ローズマリーにはとても親切でした。
そして、二人でピクニックに出かけたり、たくさんの蝋燭に火を灯して、
真夜中に踊ったりして、幸福な毎日が過ぎてゆきました。
ローズマリーは全てのものに命があると思っていました。
小川もすずらんも木々もみんな…そして、蝋燭やティーカップまで生きていると思っていました。
だって、水に浮かべた蝋燭は、きらきらと小さな粒子がまぶしく光って、溶け合っているのですから、無理もありません。
二人は永遠と蝋燭を見つめているときさえありました。
ある日、ローズマリーは街の蝋燭屋でばらの形をした真っ赤な蝋燭を見つけました。
でも、その蝋燭は売り物ではありませんでした。
ローズマリーはその蝋燭がどうしてもほしくなってしまいました。
そのとき、店の主人が
「君のその澄んだ青の瞳を私にくれたら、この蝋燭をあげようじゃないか」
と言いました。
そして、ローズマリーは迷わず右目を主人にさしだしてしまいました。
家に帰ったローズマリーを見て、少年はその姿に驚きましたが、
ローズマリーがあのうたかたの蝋燭に火を灯したので、
少年は何も言わずに彼女の隣に座りました。
何時間が経ったでしょうか、途中で眠ってしまった少年は目を覚ましました。
ばらはもう、光もなく、形も失っていました。
そして、その蝋燭が消えたときにはもう、ローズマリーは冷たくなっていたのでした。
少年は悲しみのあまり、死んでしまおうかと考えましたが、
彼女のためにも、それはやめることにしました。
その代わり、ローズマリーを小さな裏庭に埋めました。
ローズマリーとの思い出が、少年があの家にいることをさえぎりましたが、
少年はずっとローズマリーのそばにいようと思いました。
なぜなら、このとき少年にも、彼女のさびしい気持ちがわかったからです。
春の朝に、窓辺から暖かい光が差し込みました。
少年は、ローズマリーを思い出して、裏庭にでてみることにしました。
ローズマリーを埋めた場所には、一輪の赤いばらが咲きました。
「果てまでの散歩」
私の家から10分のところにある河原。
下は堤防になっている。
私の住んでいる街は過疎地で、この河原を歩いてる人なんてほとんどいない。
河原の上は並木道になっていて、そのまわりには廃墟に等しい工場やマンションがある。
私は休日、暇なときは愛犬と散歩にゆく。
もちろんあの河原へ。
犬の名前はマドレーヌ。
私はマドって呼んでいる。
マドは茶色と白のビーグル犬だ。
私は朝食を食べてすぐ、水玉のワンピースとおそろいのチューリップハットに着替えた。
そして、唐草模様の門を開けてマドと歩き出す。
今日も私たち以外にこの川に来ている人はいない。
私たちはまともに舗装されていない、老木の並木道を歩く。
夏も終わりかけの、なま暖かい風が吹いてる。
「ここ、二人じめだね」
私はマドに話しかける。
他人から見たら、私のことを絶対に頭が弱い子だと思うだろう。
そして、独りで笑ったり、スキップしたりしながら、
うっそうと生い茂る雑草の道をゆくんだ。
誰から見ても、決して綺麗とは言えない川の水。
マドはそこに浅瀬を見つけた。
丁度、私たちが歩いてるところの下あたりは暑さで水が引いて、
砂利の陸地になっていて、浅瀬では水浴びができそうだった。
その陸地までは堤防、
アスファルトの坂になっていて、頑張れば降りることができる。
私は、はいていた下駄を両手に持つと、
一気にその陸地までかけおりる。
マドは一足先に、足を水につけてる。
私も下駄を水にぬれないところにおいて、水の中へ入る。
こんなに太陽がでているのに、水の中は冷たい。
私はマドに水をかける。
子供の頃にしたように、いたずらっぽく。
あんなにいつもは水を嫌がるマドなのに、今日はとても気持ち良さそうだ。
マドは少し深いところに行ってしまった。
私は水の底の砂利で、バランスを崩しそうになる。
私は足を乾かすために、陸へあがった。
三角ずわりをして、マドを見ている。
マドはしきりに川に鼻をつっこんでる。
気持ちいいのかな。
マドもこっちへ来て、ぬれた体で私に甘えてきた。
私は少し嫌だなぁ、と思いながら
水浴びでびしょぬれになったマドをなでてあげる。
マドもそろそろ上に行きたいみたいだった。
「もうそろそろ行こうか」
私は下駄を持って、アスファルトの坂をのぼる。
もといた地上へ戻る。
さあ下駄をはいて。
ゆっくり歩こうか。
河原はひどく荒れ果てていて、雑草が森と化している。
でも、マドはそんなところが気に入っているようだった。
本当に、私たちはゆっくりと進んだ。
そして、私たちは階段をのぼって、並木道を歩く。
突然、死にかけのせみが私の前を横切って、小さく悲鳴をあげてしまう。
「せみって怖いんだね、でもかわいそうだよね、」
しばらくして、絶対私が廃墟だと言い張る、古びたマンションが見えてきた。
くすんだ白のマンションが、何故か懐かしく感じる。
絶対あそこには人が住んでいない、
だって、大きいくもが何匹もエントランスに巣を作ってるだもん。
私はマドに「ちょっと待ってて」と言って、
思わず非常階段の入り口の柵のドアノブに、手をかけてしまう。
やすやすと開いてしまったので、驚いてしまった。
私は怖くて、誰も見てないかな、と思って
泥棒みたいにこそこそ逃げた。
自分が廃墟だと思っているくせに、おかしいね。
でも、私はそこが廃墟でも廃墟じゃなくても、入ってみたい。
廃墟じゃなかったら住んでもいいよ。
懐かしくていい感じがするから。
そろそろマドにくさりをつなげて、大通りまで続く坂道をおりてゆく。
ここは昔と何も変わってない、
そんな気がする。
子供の頃から知ってる犬がほえてきたり、
二階にピカピカに磨いた赤い車が飾ってある家が、まだあったり。
そんなことが、とても嬉しい。
そして、過ぎてしまった花火大会や、小さい頃の夏の思い出があふれでてくる。
確かに、あの得体の知れない民家や、小さな精肉工場はなくなってしまったけれど。
それだけで、あとは何も変わってない。
私はこんなに大きくなってしまったけれど。
やっと家についた。
私はマドを庭に入れ、彼女のお皿に新しく水を注いだ。
そして私はリビングで炭酸水のボトルをあけ、庭に足をだす。
帽子のせいで無駄な汗をかいてしまった。
ああシャワーを浴びようかな。
また私の一日は、あっけなく終わってしまった。
まだしたいことが、他にあったのに。
明日こそは、君に電話しよう。
そんな、休日だった。
こんな毎日が、いつまでも続けばいいと思う。
since*20050910